先日、道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)と闘う親子の話を描いた「産まれてすぐピエロと呼ばれた息子」の本に関する記事を書いた。
本や、本を執筆された濱口結衣さんと息子の賀久くんのYouTube動画にとても大きな影響を受け、魚鱗癬に関するニュースを調べてみようと思い立った。
4歳の女の子がモデルデビュー
米ワシントン州に住む道化師様魚鱗癬の4歳の女児ハーパー・フォイちゃんがモデルデビューすることになったという記事だ。
母親のアンジーさんはこのように語っている。
ハーパーには『あなたは内も外も美しい』ということをわかってもらいたいのです。だってあの子はとても輝いているんですから。私たちはハーパーがどんどん外に出ることで、この病気について理解してくれる人が増えてくれることを期待しています。そして社会の“美”の定義が変わってくれることを願っています。
本当に美しい表情をしていると思う。
漂白剤のお風呂に入る1歳の男の子
こちらはアメリカワシントン州のジェイミソン君。妊娠7ヶ月の時に道化師様魚鱗癬と診断され、医師からは「出産しても生き残る可能性は2％しかない。中絶を考えたほうがよい」と告げられたという。その子が無事1歳の誕生日を迎えたという記事だ。
週に2回、漂白剤を使っての入浴があると言う。かなりの痛みを伴うようで、読んでいてとてもいたたまれない気持ちになった。漂白剤の代わりに「ナノ・バブラー（Nano Bubbler）」という酸素の泡を使って皮膚をきれいにする機器の使用ができないか、保険会社らとの話し合いも続けていると書かれている。実現されることを切に望む。
なお、先ほど紹介したハーパーちゃんは1日に4回、マイクロバブルバスという特別な泡風呂に入ると書かれていた。
オーストラリアの事例では、マイクロ・ナノバブル入浴を取り入れたことで症状が改善したという報告もある。
ヨガのインストラクターとして活躍する26歳の女性
こちらは道化師様魚鱗癬の26歳の女性モイさんの記事。
モイさんを産んだ両親はモイさんの難病に向き合うことが出来ず、モイさんの元を去ってしまった。
社会福祉サービスのボランティアをしていた夫妻が、生後数ヶ月のモイさんに出会い、養子としてモイさんを育てる決意をした。
モイさんは、10代の頃にはネットによるいじめを受け、自殺を考えたこともあったという。辛いときは愛する両親が慰め、モイさんを奮い立たせてくれた。
大人になったモイさんはヨガのインストラクターとして活躍する傍ら、ラグビーの審判員や特別な支援を必要とする子供達のための教育施設で働くなど、充実した日々を過ごしている。
モイさんはこのように語っている
私は自分を理解し愛してくれる両親を持って、本当にラッキーだと思っています。両親は家にこもっていないで、外にどんどん出ていきなさいと私の背中を押してくれるのです。
モイさんの話をアニメにした動画がYouTubeにアップされている。
道化師様魚鱗癬の女性、世界で初めて母になる
道化師様魚鱗癬のステファニー・ターナーさんは、21歳の時に息子ウィリー君を出産した。道化師様魚鱗癬の女性が出産をすることは、世界で初めてのことだという。産まれてきたウィリー君に道化師様魚鱗癬の症状はなかった。
両親両方に遺伝的素因がない限り、子どもは道化師様魚鱗癬を発症しないと考えられている。ただ、妊娠によって腹部の皮膚が引っ張られることで感染症のリスクが高まり、命の危険もあると医師から警告されていた。
夫のカーティスさんはステファニーさんのことをこう語る。
初めて会ったときから『皮膚病を持った人』ではなく『ステキな女性』という印象が強かったです。彼女はいつも明るくて、前向きで、そこに強く惹かれました
カーティスさんも本当に素敵な人だと思う。その後、娘のオリヴィアちゃんも誕生した。
ステファニーさんの動画はこちらになる。
また、こちらのアニメ動画では登場人物の名前はステファニーさんとは異なっているが、モデルはステファニーさんではないかと思える動画になる。
異国の子に捧げる無償の愛
ベトナムに住む3歳の孤児ミン君と、孤児院でボランティアとして働くイギリス人のブレンダさんの話。ブレンダさんは78歳。二人に血のつながりはない。
ミン君は魚鱗癬の皮膚をかきむしる行為を防ぐため、1日の大半をベッドで拘束されていたという。ブレンダさんはこのやり方は間違っていると指摘し、変えさせたという。
その後ミン君はブレンダさんに心を開き、一緒に外出する許可を得ることが出来るようになった。
ブレンダさんは「彼には、彼と普通の時間を過ごす誰かが必要だった、それだけなのよ」と語っている。
最後に
いくつかの記事を紹介してきた。ご両親も罹患しているご本人も本当に強い素敵な人たちで、彼ら彼女らの笑顔は輝いていて、世界を幸せにする力がある。
世の中の少しでも多くの人が道化師様魚鱗癬を知り、それによる差別や偏見が無くなることを望む。
上記ではアニメ動画を2つ紹介した。アニメは活字とは違い、幅広い世代の人に訴えかけやすいというメリットがある。記憶への定着もしやすいと思う。
濱口結衣さんが執筆された本も、是非漫画版を出して欲しいと思う。
