エンジニア系YouTuberの勝又健太氏のエンジニア男子よ、技術に逃げるな。という動画を見た。
私も同じWebエンジニアであり、とても興味深いタイトルの動画だった。
本記事ではエンジニアという表現をWebエンジニアという意味で記す。このように前置きをしないと、他の業界のエンジニアから「ウチは違う」みたいに言われることがあるからだ。
動画の内容
勝又氏のお話を簡単にまとめると次のようになる。
- 技術オタク系のエンジニアから「技術から逃げるな」と言われることがちょくちょくあるが、自身(勝又氏)に言わせれば多くのエンジニアが技術に逃避している。
- 自身は技術のタスクが一番面白いと感じていて、技術だけをやっていて欲しいものが全て手に入るなら技術に関わることだけをやっていたいというのが本音。
- 技術だけをやっていても、エンジニア以外から興味を持ってもらったり、モテたり、現在と桁違いの収入を得ることには繋がらない。
- エンジニアは、恋愛やモテなど自分が本当に興味があるものから逃避した結果、エンジニアという職業にたどり着いた人がかなり多いのではないか。
- モテに関しては若い人が圧倒的に有利なので、そのゴールデンタイムをエンジニア界隈で過ごすのはもったいない。
- エンジニア界隈での評価は、エンジニアの世界を出るとほとんど通用しない。
- 起業家やBiz系の交流会では、技術ばかりをやってきたエンジニアは興味を持ってもらえない。
- 技術ばかりやってきた人はプログラミングマシーンで、機能には魅力があるものの人として繋がろうとは思われない。
- 面白い人と繋がって自分の人生に面白い出来事を巻き起こしたい20代エンジニアは、もうちょっと頑張って技術以外に目を向けてみてはどうか。
皆さんはどのように感じただろうか。
私が考えるエンジニアが技術に逃げてしまう理由
エンジニアが技術に逃げてしまう理由はいくつかある。
技術が好きだが他のことが苦手なパターン
技術について考えている時間が好きで、それ以外の事、例えば人とのやりとりが苦手だったり好きではないというパターンだ。
こういうエンジニアは非常に多い。ただこれを逃げと表現していいのか悩む部分はある。好きな事、得意なことを突き詰めていきたいと考えるのは、人生の充実度や幸福を考える上で正しい選択とも言えるからだ。苦手なことをしてストレスを貯めてまで収入を上げたいとは思わない、と言うのはまっとうな意見でもある。
元々エンジニアは一般的に他の職業に比べて給与が良く、人並み以上の生活は送ることが出来ているし、タワマンに住みたいとか高級車に乗りたいなどの願望がない人も多い。
勝又氏に対して「技術から逃げるな」と言っているのがどういった層なのかは気になる。勝又氏はプレイヤーとして豊富な実務経験を持つ人物で、十分なベースを持ちながらその上で色々なビジネスを行っているという認識だ。
技術に自信がある人間であれば、人には得手不得手があり色々な人がいることで組織や社会が回っていることを俯瞰できてもいいように思うのだが。そのため、言っている人は自信のなさの裏返しでは?のようにも感じてしまうのだ。
技術にあまり自信が無いが、技術以外に目を向ける余裕がないパターン
プログラミングは好きでプログラミングをずっと続けていきたいと思ってはいるが、技術に自信は無く、定年まで続けていけるのか不安に思っているパターンだ。
学生自体にそれなりに勉強してきたという自負があっても、就職してみて自分の能力が他愛のないものだと気づかされることも多い。
それにエンジニア界隈、特にWeb業界は技術革新が著しく、選択できる技術の種類も無数にある。せっかく大きな学習コストを掛けても数年で陳腐化してしまうことも珍しくない。
そのため、平日の就業後や休みの日にある程度の勉強をすることが、半ば強制になっている人も多い。若いうちは課せられる責務も限られているし、体力もあるからなんとかなる。
でも数年後中堅クラスになり、若い頃以上のパフォーマンスを求められるようになってくるとプレッシャーに感じ始める。
そのため、技術以外のことに目を向ける余裕が無くなってしまうのだ。このパターンは30歳すぎくらいに多い。
技術だけが問われてしまうパターン
ここが私が最も話したい部分となる。
勝又氏の動画で出てきた表現にプログラミングマシーンというものがあった。実に的確な表現であるが、現代のエンジニアはプログラミングマシーンであることを求められる。
エンジニアは他の部署から「あいつら(エンジニア)はビジネスのことなんか分からないし興味も無い」と思われてしまいがちだ。
これはエンジニア業界の大きな問題点であり、またビジネスチャンスでもあると思っている。自身でも何か出来ないか考えてはいるのだが、まだ行動には起こせていない。
実際の所、エンジニアリングに必要な能力はビジネス全般において広く活用できるものだ。
文章の読解力、豊富な情報の把握や整理、問題点の抽出、情報収集、ソリューションの立案など多岐にわたる。
成果物としてはコードであるが、これだけの過程を得て作られるものなのだ。いや、この過程次第で品質や内容を大きく変えることが出来ると言うべきだろうか。この点が世間に認識されていない。
「それはSIerの仕事では?」と思われるかも知れないが、れっきとしたWeb業界の話である。自社でWebサービスを展開しており自社で完結するからこそ、他の部署とフラットに付き合うことが出来る。下請けに流さないからこそ、細部まで自身で突き詰めることが出来る。
そして、一定以上の品質を実現するためには、コードを書く経験を一定以上積むことが必須であると考えている。ここが重要だ。
if文、for文が分かっていればプログラミングは書ける、RailsとJSがある程度分かれば十分だと思っているようなレベルでは全然足りない。
複数の言語を身につけたり、DDDや○○アーキテクチャ、デザインパターン、マイクロサービスなどの理解が幅広い発想や柔軟性を生む。
つまり、エンジニアはコードを書かないとしても活躍の場は大いにあるはずなのだ。
技術以外に強みを持つエンジニアが日の目を見る時代は訪れると思っている。